世の中には、美味しいご飯があふれている。
その中で、お客さまは何を食堂に
求めてきてくれているのかな?
そんな事をよく考える。
私の作るご飯は、おうちのご飯に近いと思う。
でも、おうちでのご飯とは全然違うとも思う。
以前お客様から
お家でご飯を食べている安心感
みたいなものに包まれて、
丁寧に作られたご飯をいただけて
嬉しかったです。
とメッセージをいただいた。
伝えたい事が伝わった感じがして
すごく嬉しかった。
私が小さい頃、外食は特別なものだった。
お家では絶対食べられない味を外に求めて行く、
イベントっぽいワクワク感があった。
最近では外食とお家の味の差が、
良くも悪くも縮まっているような気がする。
手に入りにくかった調味料や食材も
わりと手に入るようになってきているし
知識や道具などの進化により、なんか頑張れば
お店の味に近づけられるようになった。
冷凍の技術も年々進化していて、
名店の味っていうのも簡単に手に入る。
スーパーの売り場に行くと、需要が多いのか
かなりのスペースで◯◯の素も並んでいる。
へたすりゃ、自分で作るより美味しいとかで、
材料買ったり、作ったりする手間を考えると
そういうのをチョイスする人が多いのも頷ける。
情報や商品の流通と同時に、お家ならでは
っていうものが少なくなってきているのかも。
「家の味」というのは、
そろそろ死語になりつつあるのかもしれない。
そんな中で、地味だけど、
コスパもいいかわからないけど
丁寧に作られたご飯。
お家でご飯を食べる感じの雰囲気とか、
季節を感じられたり、安心する味。
言葉に出すと安っぽく感じるけど、
結局のところ、ハレでもケでもない
日常のひとコマのご飯を私は作ろうとしている。
食堂のご飯を食べたら、
そのあと何食べたか忘れちゃって、
その後の日常を、その人がやりたい様に
存分に過ごし、また次の日を迎える。
食堂のご飯の存在はそんな感じだと思っています。